親がすごい(1) 中村久子さんの親のこと

 孟母三遷といわれますが、  私が最近知ったすごい人、  笹川良一さんと、  三歳で四肢切断し、72年を生き抜かれたで中村久子さん  二人とも本人はもちろん素晴らしい方々ですが、  実は、彼らの親もすごい方々です。

 中村久子さんの母親、あやさんは、10歳の久子さんを連れて  無理心中をするため、飛騨高山の宮川の崖っぷちに立ちます。  そのとき、久子さんの「こわいよう。おうちに帰ろうよ。」の声に、  我を取り戻し、無理心中を断念します。  翌日から、鬼のような教育が始まります。  四肢のない娘に、着物のほどきものを命じます。  出来ないと泣く久子さんに、あやさんはこたえます。

 「出来ないとは何事ですか。   人間は仕事をするために生まれてきたのです。   あやまりなさい。そして、やりなさい。」

 この厳しさは、あやさんが亡くなるまで続きます。  久子さんは、あまりにも厳しい親を恨みます。  久子さんが、親の深い愛に気づくのは、33歳のころです。

 自分の娘の運動会に行き、娘が駆ける姿を見たときでした。  自分の娘が走る姿を見られる幸せを感じたとき、  自分が母親に与えてきたものは苦しみと悲しみだけであったと悟り、  それでも厳しく育ててくれた親の愛に気づいたのです。

 あやさんが亡くなって10年も経ったあとでした。

 娘に恨まれても、娘の自立のために、  その一生を厳しい愛で貫き続け、  娘に恨まれたまま、一生を終えたのです。

 中村あやさんは、素晴らしい親でした。

 笹川良一さんの両親もすごい方です。次回にご紹介いたします。

column/column008.txt · 最終更新: 2009/05/30 19:14 by 寺本和生
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